リフォーム業界で広がるM&A、その成功の鍵とは
特に2021年には日本企業が関与したM&A件数が過去最高を記録し、DX（デジタルトランスフォーメーション）や脱炭素化の推進、コロナ禍での事業再編がその要因とされています。
リフォーム業界も例外ではなく、後継者問題や事業拡大の一環としてM&Aが活発に行われています。
リフォーム産業新聞などでもM&A関連の話題が増えていることから、今後の業界動向に関心が高まっていると言えるでしょう。
最近では、企業が自社の成長に必要な分野を取り込むための戦略的なM&Aが増えています。
たとえば、後継者不在が課題となっていたリフォーム会社が、同業他社の傘下に入ることで事業継続を図る事例も増えています。
こうしたM&Aは、社員や顧客、株主など多方面においてメリットを生み出す可能性があるため、非常に有意義と考えられています。
一方で、売り手側としては、これまで育んできた企業文化や従業員を手放す不安も少なからずあります。
しかし、買い手がその文化を尊重しながら事業を引き継ぐことも多く、両者の合意の上でM&Aが行われれば、全体としてプラスの影響が期待できます。
買い手としては、財務が健全であることや既存の顧客を維持しつつ新たな価値を提供できるかが重要です。
また、リフォーム業界のように専門性が高い業種では、キーマンとなる社員の離脱が大きなリスクとなるため、慎重な人員の引き継ぎが求められます。
一方、異なる企業文化が融合する際の摩擦や、期待したシナジー効果が実現しないリスクも存在します。
例えば、10年ほど前にある大手飲料メーカーが海外企業を買収し、その後の運営に苦労して売却に至った事例もあります。
このように、M&Aは必ずしも成功するわけではなく、十分な準備と戦略が必要です。
こうした企業がM&Aを検討する際、まずは理念が近い企業とのマッチングが重要です。
理念が合致することで、文化の統合がスムーズになり、また双方にとってシナジー効果が生まれやすくなります。
さらに、M&Aの初期段階では地域の商工会議所や銀行、M&A専門のコンサルタント会社と相談を重ねることが一般的です。
銀行や専門会社も近年ではM&A案件に力を入れており、リフォーム業界向けの案件も増えています。
また、買収前には社員や取引先との関係維持が重視されます。
特に現場で働く社員や下請け会社との関係が良好であることが、今後の事業継続にとっても重要です。
そのため、M&Aの交渉が進む段階で社員に面談を行い、今後の展望を共有することが望ましいです。
社員の離職リスクが事前に確認されていることで、買収後の円滑な事業運営が見込めるため、非常に重要なプロセスといえるでしょう。
