「あなたは仕事が楽しいですか?」
もし、この質問にあなたがドキッとしたならば、私が若い時に体験した実話を少し聞いて欲しい。
私は中学校時代、野球部に所属していた。
キャッチーをしていた。正直キャッチーはやりたくなかったのだが、その時のエースが投げる球を取れる奴がいないという理由で2年生からレギュラーに抜擢されたのだ。剛速球を投げるピッチャーは小原という。
市内に20校近くあったチームの中で一番速い球を投げていたと思う。チームは弱かったが小原の才能はピカイチ。ピッチャーとして投げれば剛速球、打者としてもホームランを量産。いつの間にか小原は周りから相当注目される存在になっていた。
「指導者に恵まれていたら、プロに行く可能性もあった。」今でもそう思っている。
私と小原は、京都府内の名門私立高校に進学した。野球で甲子園に行くためだった。しかし、私たちはあっさり挫折する。(今思うと、人生においての一番の後悔はこの事だと思うが、話の本題からは少しそれるのでこの部分は割愛する)
高校卒業後、私たちは別の道を歩む。私は営業の世界へ高卒で飛込み、小原は専門学校へと進学してその後、卸問屋へと就職する。
私は営業の仕事にドはまりした。仕事が楽しくて楽しくて仕方がなかったのだ。契約を獲得すると貰える1万、2万のインセンティブを手にした瞬間ワクワクしたものだ。企業に電話を掛けて社長に会って、求人広告を掲載してもらう。
「採用出来たよ。ありがとう。」その言葉をもらう度に無茶苦茶喜んだ。仕事が楽しくて仕方なかったのだ。